上田獅子のおこり
天平十三年(741年)聖武天皇の勅により建立された信濃国分寺を中心として、政治的にも文化的にも発展したわが上田地方には、各種の獅子おどりが伝承されているが、なかでも上田獅子は、その正確な形を伝えるものとして貴重なものである。
上田獅子は、市内の旧常田村、房山村に伝えられる常田獅子、房山獅子の総称で、ともに両村の祗園祭に行なわれていたものであるが、天正十一年(1583年)真田幸村の父昌幸が上田城を築くとき、ともに召されて、地固めの式に獅子おどりを奉納し、また、仙石忠政が上田城を再築したときも、真田の例にならい獅子おどりが奉納された。
以来、嘉例として松平氏に引継がれ、城主の保護のもとに格式と洗練が加えられ、明治以後も特別な行事の折には、変らぬ雄姿を見せている。こうして常田、房山の人々により歌い踊り伝えられた。その独特のおどりと時代のさぴや格調の高い形式は、郷土の芸能として上田の誇りでもある。
最近では家の新築時の縁起物としての需要を中心に、慶事その他贈答用に農民美術の上田獅子が広く愛用されています。
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